プロジェクト

化学品事業

ルーキー社員の
情熱と行動力が“三国間貿易”
拡大のステップに
  • I 田 工業材料部 第一課
    外国語学部 英米語学科 卒
  • O部 工業材料部 第一課
    秘書科 卒

CHEMICAL PRODUCTS PROJECT STORY 01 大きなミッションを
与えられた使命感

化学品本部工業材料部では、I田が入社する数年前から海外市場開拓の機運が急激な高まりを見せていた。中でも海外から仕入れた原料を海外の企業に販売する“三国間貿易”に注力。その事業比率を拡大することで、5~10年後を見据えた新たなビジネスモデルを確立するという基本方針を打ち出していた。学生時代に留学を経験し、インドやアフリカの学生との交流を深めていたというI田の国際感覚と英語力に期待が寄せられ、新たに始動することとなったプロジェクトにアサイン。商材となる”シリカフューム”は合金鉄を製造する際に発生する超微粒子で、超高層ビルや特殊耐火物など幅広い用途で利用されており、建築ラッシュが続くアジア地域を中心に今後の需要が見込まれていた。
早速、I田たちは“買い手探し”に着手。シリカフュームを使用する企業をリストアップし、隅から隅まで電話をかけてニーズを探っていった。I田に託されたのは、台湾、タイ、ベトナムの企業、50数社。
「“三国間貿易”の拡大というミッションを与えられていると考えれば、次から次へと電話をかけていって、繋がらなかったらそこでおしまいというわけにはいかないと思いました。相手が反応すると予測されていたキーワードを先輩社員から教わりながら、アピールポイントを整理したうえで、とにかく粘り強く、丁寧にアプローチをしていきました」
一度電話をかけて断られても食い下がり、担当者の名前を確認して、後日、また掛け直したこともあった。入社してわずか半年足らずだったI田としては、与えられているミッションに対して、ただひたすらに全力で応えていくしかないと感じていた。

CHEMICAL PRODUCTS PROJECT STORY 02 台湾の企業に
乗り込んで
直接アピール

営業アシスタントのO部は、I田の堪能な英語力に感心したという。
「発音が良くって相手に伝わりやすいと感じました。それだけではなく、新人らしからぬ落ち着きと交渉力。社内でも一目置かれ、上司からも期待されているのは誰の目から見ても明らかでした」
そんなI田の熱意が伝わったのか、やがて何らかのリアクションを示してくれる企業が現れ、担当者とメールのやりとりが始まった。中国語の文章は語学堪能な先輩社員に指導を受けながら解読。返信のメールでは日本におけるシリカフュームの使用例を示して、技術者の興味を引き付けるよう工夫した。興味を示した担当者には電話でもアプローチをした。得意の英語を駆使して、誠心誠意説明する姿に、周囲の社員も心を動かされた。
「調達担当者に見積もりを送付して、反応が良かった企業をピックアップ。アポイントを取って先輩社員とともに現地入りして、一気に商談を進めることにしました」
訪問計画を立てたのはI田だった。台湾の中心地から離れた場所にある小規模工場の情報を収集するのは一苦労だった。交通手段を考慮したうえで、タイムスケジュールを組んでいった。
「わざわざ台湾まで出かけて行って商談をするのですから、それなりの成果を残したいって考えていました。そのためには初回訪問の印象は重要。そこでアピールに失敗したら、もう次はないと自分を追い込みました」
上司とともに作戦を練った。過去のデータを用いた技術資料を作成し、説得力のあるロジックを整えた。どれだけの日本の有名企業が採用しているのかアピールしつつ、当社の技術的なバックボーンも伝えた。
「単に右から左へと商材を売り渡す商社ではないと理解してもらうことで信頼を集めていきました」
とにかく必死だった。会社が掲げる三国間貿易拡大施策の一翼を担っているという気概がI田に力を与えていった。

EPILOGUE 台湾における成功事例がもたらしたもの

台湾の商談ツアーの成果はすぐに現れた。もちろん、興味があるからこそ相手企業も商談に応じたのだし、お国柄なのか意思決定も早い。サンプルを送付してOKが出て、トライアルから本発注へと、とんとん拍子にことが進んで行った。
「はじめての注文書を目にしたときには、素直に嬉しいと思いました。本当なのか?と何度も見直してしまいましたよ」
この台湾における成功事例を皮切りに、工業材料部門全体として、その後もアジア諸国、アメリカを舞台とした三国間貿易にアタック。次々に商談を成立に導き、当初の目的であった海外ビジネスにおける三国間貿易の比率も急激に高まっていった。さらにI田たちが当時、手探りで確立していった原価計算や見積もり書式、支払い条件の設定など実務的な手法だけでなく、“開拓者精神=フロンティアスピリット”も浸透していった。
やり遂げたという自信は、ルーキーだったI田の以降の成長にも大きな影響を与えている。O部はそんなI田の姿を温かく見守りながら「うちのチームはファミリーのような雰囲気。互いにフォローしあえる環境にあります。だから若手社員も存分にチャレンジできるのです」と言う。
現在は、新しい仕入れ先の開拓に奔走。「商品の寿命は10年サイクル。先輩社員から引き継いだ仕事をやっているだけでは、すぐに市場のピークを迎えて、あとは下降線をたどるばかり。そうならないためにも自分独自の新しい商材を見つけていく必要があります」
自信という名の翼を付けたI田は、世界へと羽ばたいていく。