遠心分離機とは
Centrifuge
遠心分離機の仕組み
遠心分離とは
「遠心分離」とは、遠心力を利用して比重差のあるものを分離することです。
例えば「水と油」のように比重差があれば自然沈降によって分離しますが、重力1Gのみの沈降になるため、比重の重いものが沈降するまでに時間がかかります。しかしこれを回転させ遠心力を加えて遠心沈降させることにより、短時間で沈降・分離をすることができます。
- 自然沈降
- 重力のみの1Gでの沈降は比重の重い固形物が沈降するまでに時間がかかります。
- 遠心沈降
- 原液に回転を与える事で遠心力が発生し、自然沈降よりも短い時間で沈降します。
沈殿物を分離
自然沈降においても、比重差があれば分離します。
名称 | 比重 | |
---|---|---|
母液 | 水、 溶剤等 |
1 0.7~1.2 |
沈降物 | 固形物 | 0.8~7 |
当社が主力とするデカンタ遠心分離機は重力の数千倍~数万倍の遠心力で、目的物を強制的に遠心沈殿させ、分離して取り出す機器で、『素早く』『極めて大量に』『連続的に』分離ができるという特徴から、多種多様な用途で利用されており、代表的な用途としては、
- 食品(スリ身、ジュース、調味料、エキス)
- 化学(高純度テレフタル酸、塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン)
- 環境保全(下水、し尿)の他、医薬(抗生物質、薬用菌体)
- エネルギー(燃料油、排脱石膏)、リサイクル(工業廃水、廃プラスチック)
- その他(石炭、タール、泥水、研磨剤、PCB等)
などがあります。
遠心力
物体に働く遠心力には、回転の中心から物体までの距離(回転半径)と回転の速さが関係します。
遠心効果 ≒ 895 / rN2
※r:回転半径(m)、N:回転数(min-1)
身近な例
種類 | 遠心力 | |
---|---|---|
1 | 自然沈降 | 1G |
2 | 水の入ったバケツを回す | 2~3G |
3 | F1のコーナリング | 3~5G |
4 | 戦闘機の急旋回 | 9G |
5 | 洗濯機の脱水 | 30~50G |
6 | デカンタ型遠心分離機 | 1,000~ 3,000G |
7 | 円筒型遠心分離機 | 15,000~30,000G |
デカンタ型の鳥瞰図
デカンタ分離機構
- 回転筒とスクリュウコンベアが共に回転し遠心力を発生(スクリュウコンベアはやや遅い速度)
- フィードチューブから供給液を供給
- 凝集剤使用時は、凝集剤も添加
- 回転筒内で固形物と分離液に分離
- 固形物はスクリュウコンベアで図の左側へ搬送され、脱水して排出
- 分離液は図右側のダムをオーバーフローして排出